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アンカー 1

はじめに

プリント配線板 (Printed wiring Board): PWB

プリント配線板の製造において洗浄工程で、回路を形成する過程において異物を除去する必要が有ります。異物とは、物理的なものに限定されず、化学的な見地から見た不純物も異物と考えられます。これら不純物を除去するためには主に酸を利用します。 スルーホールのめっき前とめっき後、表面処理前などは「ソフトエッチング」と称される酸洗工程によつて銅箔表面を清浄にします。 

 

酸性物質を使用するため、作業後には中和、水分による洗浄が重要となります。 これが不十分であると、残つた残渣(酸性物質)がプリント配線板のスルーホールの品質を損ねます。 また、この残渣は経時変化によつて銅を融解させます。

ソルダレジストが不完全硬化状態の製品、製造工程において付着したイオン性の汚れは外観では識別することが出来ません。

 

めっき工程には問題がなくても、後工程、特にソルダレジスト、表面処理工程において、日視だけでは判定することができない不具合を発生させるリスクが潜在しています。

プリント回路実装品(Printed Circuit Assembly): PCA

はんだ付け(リフロー)時、鉛フリーのフラックスでも、イオン性物質を有しています。

リフロー → 熱が加わる → フラックスの活性分が飛ぶ → フラックスの活性分が全て飛べば腐食性は無くなります。 しかし、少しでも残澄(イオン性)が残れば、絶縁劣化の原因となります。 近年のBGA等の基板は電極が狭くなっており、基板の隙間にフラックスが残ることが有ります。 また、面実装においても床面積の大きいLEDや接合部のクリアランスの狭いLGAやQFN等の部品は、はんだ付け時にフラックスの活性成分が熱で飛ばずに残ることにより温度が上昇してイオンマイグレーションが発生し絶縁劣化の原因となります。

 

フロン規制以降、実装後の基板上に残つたフラックスを洗浄しない「無洗浄実装」が定着されて久しいのですが、実装基板の無洗浄化で最も影響を受けたのが、活性剤です。 従来は、強力な無機塩素系活性剤を使用して、部品表面及び基板表面の酸化膜を除去することで拡散反応をスムーズに遂行することが出来ました。 しかし、無洗浄化では基板上に残つた活性剤が腐食の原因物質として作用するため、活性剤の活性力低下をせざるを得ません。 その結果、酸化物を除去する能力が低下し、はんだ接合そのものが不完全となる事例が見られます。 特に、高温、多湿の海外工場で実装した基板で、はんだ濡れ不良による不具合が散見されます。

 

これらの不具合を発見するために、次頁にて、清浄度測定の必要性について述べたいと思います。

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